舞鶴荘での1日だけのプレミアムな屋外レストラン
『風土 FOOD LUNCH』と銘打ったこのイベント。
唐津の地で古くから続く舞鶴荘の場で、唐津焼の器と共に、訪ねた生産者の方達の素材を調理する。
この唐津の地の「風土」を感じていただくフルコースを準備した。
使った器は「日常に溶け込む素直な器」を大切にする唐津生まれの唐津焼作家、村山健太郎さんの陶器で提供。
料理の考案はシェフ・小川
実際に訪問した生産者の素材を駆使して、フレンチの技法と共に仕立て上げた。
○黑バイ貝と唐津産フルーツのマリネ
大山さんが採る黒バイ貝には、ヨーグルトと、唐津産の清見オレンジと、キウイフルーツを。
風味は控えめだがオレイン酸を多く含む、五島のつばきオイルとレモンで仕上げた。
○桜鯛のタルタルとうまか葱 新玉ねぎの冷製スープ
桜鯛は大山さんが締めた物を、粒マスタードとオリーブオイルであえてマリネに。
唐津産の新玉ねぎの冷製スープをそそぎ、
上には細く打ったうまか葱のジュリエンヌと共に全て混ぜながら召し上がっていただく。
○ささき農園の自然薯のフリット ヒバリトマトのソース
ささき農園の自然薯は、初めて有機栽培で人工的に育てた物。
粘り気と風味の強い自然薯をすりおろしてフリットに。
ひばりトマトは香味野菜と共にピューレにしてソースに仕立て上げ、よりトマトの風味を楽しんでもらうため、ダイスカットも加えた。
○ハタのポワレと唐津米のリゾット ビーツのピューレ添え
大山鮮魚で、当日神経締めにされたハタをポワレに。
棚田米をブイヨンでリゾットに仕立て、
福井県・三国の農家産が作るビーツのピューレ
アクセントには米のチュイルのサクサク感を。
魚自体の味わいを楽しんでもらうために唐津のレモンとオリーブオイルのシンプルな味わいで。
○佐賀牛のロティ 大閣ごぼうのキャラメリゼ 唐津のスナップエンドウのソテー
中山牧場の佐賀牛のサガリ(横隔膜の背中側の部位)をロティに仕立て、クラシックな赤ワインソースで
付け合わせには佐賀の太閣牛蒡をバルサミコ酢、バター、はちみつで、くるみと共にキャラメリゼ
同じく唐津産のスナップエンドウで彩りよく仕立てた。
○井手農園の白いちご”天使の実”とにごり酒のムース
デザートはLULLのシェフパティシエ・澤田の考案で季節を感じさせる仕立てに。
唐津・相知町「井出農園」さんの白いちご「天使の実」と、赤いちごで2種類のいちごを贅沢に使い、
福井の日本酒・舞美人のにごり酒はムースと泡のソースと共に提供。
サクサクのクランブル、メレンゲを合わせた食感が楽しく、香り高く爽やかさを持つ一品に。
●WINE & SAKE
佐賀県は日本47都道府県の中で唯一ワイナリーのない県だ。
しかし、九州には各地にワイナリーがあり、それぞれの土地で高品質なワインを作り出されている。
ワインと共に、日本酒のmixペアリングも。
佐賀県は焼酎文化の九州の中でも、比較的日本酒造りをする蔵元が多い。
その中からセレクトし、九州ワインと共に佐賀の地酒を楽しんでいただいた。
○安心院スパークリング 2020/安心院ワイナリー(大分県宇佐市)
安心院ワインを製造する安心院葡萄酒工房は、焼酎「いいちこ」でおなじみの三和酒類株式会社が運営するワイナリー。
「良いワインは、良いブドウから」。安心院町は昼夜の寒暖差の激しい、降水量も少ない朝霧が立ち込める盆地。この安心院町の風土に適したワイン用ブドウ 品種の選定や新しいブドウ品種の開発、より美味しい安心院ワインをめざして土壌改良等畑づくりを含め、様々な取り組みを行っている。
そのとちで作られるスパークリングは非常に高品質。
シャルドネを100%利用し、瓶内二次発酵で製造。
日本ワインコンペティションや、ロンドンで行われている世界最高峰のスパークリングワインのコンペティションでも受賞を重ねる、国内最高峰のスパークリング。(ワイナリーより掲載)
○シャルドネ 2020/菊鹿ワイナリー(熊本県山鹿市)
1999年からワインづくりに取り組む・熊本ワイナリーの新ブランド・菊鹿ワイナリー。
地域の生産者と培ったノウハウを結集し、施設の設計、品種やクローンの選抜、仕立てや管理方法などを細かく設定されており、地域に適した品種の模索も含めて新たな品種でも ブドウ造りに取り組んでいる醸造所。
ステンレスタンクのワインと樽熟成のワインをブレンドすることにより、やわらかさと深みのある、凝縮感のある味わい。
○シュナン・ブラン 2022/ワタリセファーム(福岡県北九州市)
福岡県の北九州市で2017年に立ち上げられた小規模ワイナリー。
北九州の若松で代々農業を営む農家の4代目が、水はけのよい土地でブドウを栽培。
18年初収穫のシュナンブランを2週間アルコール発酵し.その後オリと共に6ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めしました。
無補糖.無補酸.生産本数288本の限られた1本。
○万齢 純米吟醸 希/小松酒造(佐賀県唐津市)
小松酒造の創業は江戸末期。蔵の壁には大正から昭和にかけての新酒鑑評会の賞状がズラリと並ぶ老舗の小さな酒蔵。
自然に恵まれた環境の中で、昔ながらの手造りにこだわり、全工程をすべて手造りで行っているそう。
甘口純米吟醸酒で、フルーティーな甘味と柔らかい酸味が特徴の1本。
○メルロー 2018/安心院ワイナリー(大分県宇佐市)
上記で紹介した安心院ワイナリーの、黒ブドウ・メルローを使用した赤ワイン。
醸造には、木桶とステンレス容器の両方を使用。ステンレスタンクで発酵させたフルーティーな風味が特徴の原酒を主体に、樽で貯蔵し味わいを整えられている。
4年の熟成によって、柔らかく酸化が進み、まろやかになった奥深い味わいが素晴らしい1本。
○天山 純米 全麹仕込み 20年熟成/天山酒造(佐賀県小城市)
酒蔵の前を流れる祇園川は鉄分が無く、カルシウムやマグネシウムなどミネラル分を多く含んだ中硬水で、酒造りに理想的な名水。天山酒造で使用するお米の約90%が地元佐賀県産のお米と、契約農家の方々と共に栽培・醸造技術の向上に取り組んでいる。
通常の日本酒では麹米を2割程度しか使用しないのに対して、麹米を100%使用している特別な酒。
20年熟成することで、みたらしやキャラメルのような香りが発展し、濃厚な甘味と強めの酸味、旨みとほろ苦さが
特徴的な1本。
振り返り
今回のイベントだけでも、どれだけ唐津にある食材が幅広いか伝わると思う。
かく言う私も、唐津の知識がない状態で今回のイベントに参加し、素材の多さと、それぞれの品質の高さには驚かされた。
駅からもほど近い立地で、観光地としての役割も果たすこの唐津でオーベルジュ
nocsでこのオーベルジュを経営するというのもとても面白いのではないでしょうか?
この食材たちが、料理人によってどのように姿を変えていくのか、どのようにこのお酒たちが広まっていくのか、今後の唐津がとても楽しみです。