新潟市江南区「農園CuRA!」
カーブドッチワイナリーの見学を終え、次に向かった先はハーブ農園。
新潟市江南区で無肥料・無農薬の「自然栽培」でハーブや野菜を育てる
「農園CuRA!(チュラ)」
こちらでは代表の真保 若葉さんよりお話を伺いました。
真保さんは、農園を立ち上げる前にはハーブ専門店「Plink&Plonk(プリンクプロンク)」を開業しているなど、学生時代から調合・栽培などをしてきて、今も「安心安全」にこだわったハーブを育てている。
作業もほとんどを一人で行っており、農地72aとハウス1棟で、主にハーブ類、リーフレタス、新潟在来種の野菜を、農薬・肥料・除草剤を使わずに栽培されている。
ハーブ作りは、東京の二つ星レストランでも扱われているなど、品質には折り紙付だ。
シェフの要望を聞き、料理に寄り添うよう、オーダーメイドでもハーブを育てることに対応するなど、一流のお店に使ってもらえるようにも努めている。
行っているのはハーブの栽培のみならず、ジャムや味噌作りなどの食品加工まで、活動の幅は多岐にわたる。最近では伊勢丹や阪急の催事やオンラインショップでも展開されるなど注目を集めている。
そんな「農園CuRA!」でのお話をレポートしました。
1、”オーダーメイド”ハーブ農園
2、ハーブ造りだけではなく、食品加工も
3、農福連携
4、農園CuRAの魅力
1、”オーダーメイド”ハーブ農園
72aの畑と、ハウスの中では、様々なハーブが育てられている。
そのハーブたちは新潟に留まらず、関東・関西にも広がっており、二つ星レストランリューズや、サローネ、アングランなど、関西にもパティスリーで7軒、レストランでも2軒と取引を行っている。
営業活動も行っていないので、ほとんどの取引は口コミから繋がった方ばかりだという。
品質に対するこだわりが非常に強く、「一流の方々と同じ土俵に立つことができる商品作り」を大切にしている。
ハーブの葉っぱのサイズ感や色味まで、お店からの要望にできる限り応えるなど、そのこだわりはまさに一流レストランメンバーの一人であるような振る舞いを見せられた。
栽培面でのこだわりとしては、肥料や農薬を使わない「自然栽培」に取り組んで栽培をしているお話を伺った。
無農薬栽培では当然病害や害虫による影響はあるものの、自然本来の姿で育つ農作物は地力が強く、害を受けても被害自体は小さい。
ハーブにも虫除けの効果のあるものも多いので、野菜と共に育てることで害虫の予防にも役立っている。
その他にも、益虫であるクモやてんとう虫はアブラムシを食べてくれたり、時折降る雨が害虫を洗い流してくれるなど、自然由来の力にも頼りつつ香りの良いハーブ、本当に美味しい野菜たちを育てている。
真保さんの育てるハーブたちはそれぞれにしっかりとした特徴があり、料理・お菓子・カクテル用と幅広く活用されている。
実際に真保さんが栽培し、卸しているラインナップはこちら。
- ハーブ類
・レモンバーベナ(ヴェルヴェンヌ)
・ローズゼラニウム
・レモンタイム
・オレンジバルサムタイム
・キューバミント
・ローズマリー
・イタリアンパセリ
・クローブピンク
・コモンセージ
・パイナップルセージ 等
※季節によって異なる
案内してもらいながら、説明いただいたハーブたちを紹介します。
・パイナップルセージ
花が赤く、加熱をしても色が変わりにくい。葉っぱからパイナップルの香りが強く香り、カクテル用に使われることが多い
・オレンジバルサムタイム
タイムの一種で、少しビターな、カンパリのような香りがする。
・スイートマジョラム
ほのかに甘みのある、マジョラム。フルーツ系によく合うので、イタリアンメレンゲなどに混ぜ込まれることも。
・オレンジミント、アップルミント、パイナップルミント 名前の通り、それぞれの香りがするミント。
・ブルーキャットミント
猫が好むミント。とても個性的で、シナモンのような香りも持つ。
・キューバミント(イエルバブエナ)
チョコレート系に相性の良いハーブ。スパイシーな香りを持つ。
・ビオレソリエス
フランス品種の黒いちじく。甘みがありねっとりしている。
・ステビア
天然素材の甘味料としてよく使われる。とても甘い。ハーブティーなどに少量入れることも。
ハーブのみならず、野菜、フルーツもオーダーメイドで様々な品種を育てている。
アーティチョークや葉ごぼう、レモン、黒いちじくなどまで。
他にも様々な作物を育てているが、収穫量が多くなったり、形が悪かったり、時には規格に満たないような素材になることもある。
こういった素材たちはジャムになったり、味噌になったり、様々な形で我々の元に届けてくださる。
2、ハーブ造りだけではなく、食品加工も
農園CuRA!では、ジャムやハーブティー、味噌、ハーブソルトなど、様々な加工食品もリリースしている。
これらの食品も化学添加物などは一切無添加で、丁寧に手作業で作られている。
ジャムであれば新潟のル・レクチェやいちご、いちじく、キウイ、ルバーブなど。無農薬の素材を使っているので、皮が食べられる作物は皮ごと入れていたり、レモンも自家栽培のもので加工を行なうなど、ここにもこだわりが詰まっており果実感がそのまま残るジャムを作っている。
ハーブティーは自社の農園で採れたハーブたちを乾燥させ「朝のリフレッシュティー」や「気持ちすっきりティー」といったコンセプトに合わせたブレンドをしている。
デザインも可愛らしく、ギフト用にも向いている。
味噌は新潟市の名産・藤五郎梅を使用した「にいがた梅みそ」や、長岡市で昔から栽培されてきた伝統的な唐辛子「神楽南蛮」を使用した「神楽南蛮みそ」なども販売しており、樽熟成を3年以上おこなった味噌を使用するなどこちらにも原料からのこだわりを見せていた。
製造している商品たちはそれぞれ別のデザイナーさんを入れており、幅広いバイヤー幅広く注目をされるよう商品を展開されている。
OEMにも対応しており、最近ではカーブドッチのワインを使用したコンフィチュールの製造も行っている。
3、農福連携
メインの作業は真保さんが行っているが、基本理念で「いちからすべて、みんなと一緒に」と謳っているように、農園CuRA!では障害を持った方々の協力を得て様々な作業を行っている。
「農福連携」とは、「障害者が農業分野で活躍することを通じ、自信や生き甲斐を持って社会参画を実現していく取り組み」と農林水産省の方で取り上げられている。
真保さんは、「幼少期から障がい者やその保護者との接点が多く、 障がい者の働く環境に疑問を感じているなか、農福連携を知り、取組みを開始した。」とある。
出典:https://www.city.niigata.lg.jp/business/norinsuisan/nouringyo/12th-indus/zirei_syokai.files/R2.1_CuRA.pdf
真保さんは実際のところ「農福連携」と語り、活動していくことは好きじゃないと話してくださった。
真保さんの中では、こういった行動は「当たり前の活動」なのだと言う。
「障害者だから」と弾かれてしまうこともある日本の中で、身体に障害を持った方と健常者との間に境界線を作ってしまうような言葉を使いたくないのではないかな、と言う印象を受けた。
しかし、実際に真保さんが活動を広げるためには注目を集める必要もあるし、実際にその方々の協力を得て製造なども行っているので、活動範囲を広げるためにも積極的にこうした活動を行なっていくそうだ。
4、農園CuRA!の魅力
自然栽培されたハーブや野菜たち、フルーツジャムに味噌、ハーブティーなど様々な商品の魅力が感じられる「農園CuRA!」
そこは真保さんの丁寧な作業や、沢山のこだわり、覚悟が詰まった素晴らしい場所でした。
「規模の小さい農園だからこそ、クライアントの要望に応えながら栽培ができる」と話してくださったように、本当に厨房のメンバーの一員であるような考えが素晴らしい商品たちを生み出すのだと思う。
農園CuRA!
https://shop.ng-life.jp/cura/
食べチョク
https://www.tabechoku.com/producers/24069